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余(W氏)は初め、この事件に関する報道を新聞紙上に発見するや、極めて稀に存在する夢遊病の好適例に非あらずやと思惟しいして出張したるところ、この直方のうがた地方は元来筑豊炭田の中心地に位置し、日本屈指の殺傷事件の本場たり。従って警察方面の捜索方針も単純且かつ粗放にして、現場の証拠等は事件発生の翌日に於て、完膚かんぷなき迄に攪乱蹂躙かくらんじゅうりんされおり、充分なる調査を遂とぐるを得ず、然しかれ共尚なお、現場の形況及び前記各項の談話、警察当事者の記憶、近隣の噂等を綜合したる結果、この事件の特徴として左の諸項を認め得たり。
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