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勝久が本所松井町福島某の地所に、今の居宅を構えた時に、師匠勝三郎は喜んで、歌を詠じて自ら書し、表装して貽おくった。勝久はこの歌に本づいて歌曲「松まつの栄さかえ」を作り、両国井生村楼いぶむらろうで新曲開きをした。勝三郎を始として、杵屋一派の名流が集まった。曲は奉書摺ほうしょずりの本に為立したてて客かくに頒わかたれた。緒余しょよに『四つの海』を著した抽斎が好尚の一面は、図らずもその女じょ陸くがに藉よって此かくの如き発展を遂げたのである。これは明治二十七年十二月で、勝久が四十八歳の時であった。
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